今月のことば

湯川浩一(ゆかわこういち)

1966年(昭和41年)二代教会長・湯川信直師長男として出生。
慶応義塾大学経済学部卒。1989年(平成元年)金光教教師拝命。
2006年(平成18年)信直師逝去の後三代銀座教会長に就任。

銀座教会長 湯川浩一

銀座教会長 湯川浩一

信心の四つの目的

「銀座だより」2015年3月号 「お徳の中で」より

今日は年初めの月例祭ですから、やはり湯川安太郎初代大先生の信話第七集から「忘れてはならぬ四つの目的」を拝読し、改めて信心の目的を確認させて頂きたいと思います。

神様が私たちに「受けてくれい」と言われるおかげとは、どんなおかげなのでしょう。私たちはおかげというと、病気、経済、人間関係など、現在行き詰っている目先の問題が解決することばかりを求めてしまいますが、そうではありません。神様が私たちに願ってくださっている“本当のおかげ”というのは、私たちが“本当の信心”をさせて頂くことです。

何でそれが“本当のおかげ”になるのか。確かに目先の行き詰まりが解消されるのは有難いことです。でもそれで本当の安心が得られるかというと、そうではありません。またいつ何が起こるか分からない。心配の種は尽きることはないのです。それよりも何があっても大丈夫なように、しっかりとした信念を持たせて頂く“本当の信心”をさせて頂くことの方が大切なのです。それさえあれば、何の心配もなく安心して世渡りが出来ていくのです。

では、そのような“本当の信心”ができるようになるためには、どのようなことを目当てとしたらよいのでしょう。大先生は“忘れてはならない信心の目的”として四つのことを挙げておられます。

第一に「常に心を清らかに持たせて頂くために」。清らかな心はおかげの受け皿です。けれども、私たちの心はそんなきれいなものではありません。身体が日頃から手入れをしないと汚れてくるように、心もまた手入れを怠るとすぐに汚れてしまいます。だから日日に教会にお参りし、お話を聞いて、常に清らかな心でいられるように手入れをするのです。

第二に「角立つ心を丸くするために」。これは単に、「腹を立てないようにしなさい」と言われているのではありません。私たちは皆自分で勝手にこしらえた差し金で物事を判断しています。その尺度に少しでも合わないことがあると、すぐに腹を立てたり愚痴不足に思ったりしてしまう、そういう角張った心を持っているのだと自覚することです。いくら家庭円満、信心の継承を願っても、そういう心の角が取れて丸くならないとおかげが頂けるはずはありません。自己中心的な人間の尺度から神様の尺度へと切り替えさせてもらうことが大切なのだと思います。

第三に「災いを転じて幸せにさせて頂くために」。本当は災いなど起こらない方がよいし、そのようにお願いもするわけですが、災いは起こって来ます。ですが、たとえ何が起ころうとも、“大丈夫。これもおかげにして頂くのだ”という信念で、一心に神様におすがりすることが出来れば、必ずや災いを転じて幸せにして頂けます。そして、後で振り返ってみて“あれもおかげであったなあ”と神様の思し召しに気づかせて頂くのです。

最後に「自分の役割を明らかにして、責任を果たさせて頂くために」。いつもご拝文で「天地金乃神の道を立て通させて頂きますように」とご祈念しておりますが、私たちには親であれば親の道、子であれば子の道と、それぞれの立場によって立て通すべき道があります。神様から見て自分はどういう役割を果たすべきなのか、信心によって分からせて頂き責務を全うできるようにならせて頂きたい。

この四つのことが出来てくれば、“本当の信心”“本当のおかげ”になってきます。どうぞ今年もこの四つを完全なものにしたいという祈りを持って、日々に信心を進めさせて頂きたいと思います。

今年の八月には初代親先生の四十年祭もあります。親先生にも「本当の信心をしているなあ」と喜んで頂けるようにしたいものです。

1/6月例祭