今月のことば

湯川浩一(ゆかわこういち)

1966年(昭和41年)二代教会長・湯川信直師長男として出生。
慶応義塾大学経済学部卒。1989年(平成元年)金光教教師拝命。
2006年(平成18年)信直師逝去の後三代銀座教会長に就任。

銀座教会長 湯川浩一

銀座教会長 湯川浩一

お徳の中で 教会長 銀座だより9月号

 六月は上半期感謝祭、夏越の大祓いがあり、半年間の締めくくりの月です。ご本部では新任教師の輔名があり、四十年の褒章も行われます。私にとっては教師の原点に帰る月でもあります。
 金光教学院は五月入学し、翌年四月に卒業して教師の資格を得る学校です。
 学院入学の最初に「生涯お道のご用に専念させて頂きます」と筆で書いて、神様にお供え致します。皆、それぞれに願いを持って入学するのですが、私の場合は祖母(湯川ツヤ姫)が元気なうちに喜んでもらいたいと学院へ入らせて頂きました。
 学院の一日の生活は朝六時にご本部広前でご祈念、そのあと掃除して学院へ戻り七時頃朝食。午前中と午後は授業です。金光教の歴史や、祭典のことを教わります。それ以外に広前の掃除や大祭の準備などの手伝い、修徳殿の掃除やふすま、障子の張替えもさせて頂きました。
「心・技・体」ということから学院生活を振り返らせて頂きます。
「心」 学院は集団生活です。全国津々浦々から集まり、言葉も違い、考え方や生活習慣も違います。色々な人が集まる中で一年間生活を共にして鍛えられ、心の修行をさせて頂いたと思います。家電が使えないという厳しさもあります。
 今振り返ると、世俗を離れてご本部で一年間過ごせるというのは、貴重な時間でした。団体が帰った後の静かな雰囲気は忘れられないです。あれほど神様、教祖様のことをずうっと考えたことはありませんでした。では心の修行になり、信心が進んで常に心を神様に向けられるように・・、とはならなかったですが。(笑)
 逆に今の方がいつでも神様に心を向けて一緒に生活をさせてもらっています。
「技」 朝昼晩、神前拝詞を声出してあげること。もう一つは心中祈念です。
 人のことを祈るということ。信心の中で祈る技術というのは大事です。先生だけではなく、皆さんもどれだけこの半年間に声を出して神前拝詞をあげたか。神前拝詞、神徳賛詞これらをあげているときは神様に心を向けているときです。これをしっかり続けていきますとご祈念が出来るようになります。この技術というのはその人が自分で求めて取り組まないと身に付きません。学院でも自分で決めて取り組む自主信行がありました。
「体」 何をするにも身体丈夫のおかげを頂かないと出来ません。朝五時に起きて、ご祈念、掃除、やっと七時に朝食が頂ける。もう腹ペコです。朝食はご飯とみそ汁漬物くらいです。そのご飯の美味しさ、いまだに忘れられません。神様のお下がりで学院生が作るご飯を頂く。甘いものもお酒もなし。規則正しい生活ですから学院生は健康体になります。私は学院出てから三十五年間病気はしていません。初代大先生(玉水教会初代教会長湯川安太郎師)のお言葉を頂くと「神様のおかげを頂いて、身体丈夫で」させて頂いたのです。
 初代大先生が「信心させて頂くのに何が一番大切か。生かされて生きていることを分からせてもらうことが一番大事である」と教えられています。そのことが少しでも分かったのは実は学院だったのだと思わせて頂きました。
 上半期を振り返って根本的なことも含めて、しっかりお礼をさせて頂きましょう。自分の原点を振り返り、基本のおかげを頂いていること、「息の差し引き」ができていること、どれだけ広大無辺のおかげを頂いているかということを分からせてもらいたいと思います。
 ありがたいことが分かるということが信心になっていきます。どうぞ皆さんもそれぞれに改まりのおかげを頂いて、下半期へと進めさせてもらいたいと思います。