今月のことば

湯川浩一(ゆかわこういち)

1966年(昭和41年)二代教会長・湯川信直師長男として出生。
慶応義塾大学経済学部卒。1989年(平成元年)金光教教師拝命。
2006年(平成18年)信直師逝去の後三代銀座教会長に就任。

銀座教会長 湯川浩一

銀座教会長 湯川浩一

お徳の中で 教会長 銀座だより3月号

 銀座教会は布教百一年目を迎えました。日本は平和ですが、世界はあちこちで戦争が続いています。祈願詞にもありますように、私たち一人ひとりが「世界真の平和達成」を願わせて頂かなければなりません。これは神様の願いです。自分のようなものがそのような願いをしても、という思いが心をよぎったりしますが、一人ひとりが世界の一隅ででも祈っていくことが大切だと教えられています。
 「わが事は後にして、人のことを先に願え」と教えられています。そうすれば「自分のことは神様が良いようにして下さる」とも教えられています。
 銀座教会が生まれたのも、湯川安太郎玉水教会初代大先生が明治神宮落成の折に初めて上京されて、花見遊山ではなく「東京にも難儀をしている人が大勢おられる。その人たちを一人でも多く助けさせていただきたい」という願いを持たれて、その願いを受けて一の弟子であった湯川誠一初代親先生が大先生に成り代わって東京に布教されたのが銀座教会の始まりで、布教された年に関東大震災に遭って避難先の御神前で東京の復興を願って銀座教会を開設することができ、その教会も昭和二十年の戦災でまた焼失してしまいますが、仮広前で日本の復興を願っていくと、お広前が復興して敷地が広くなりました。その信心を受け継がれた二代親先生によって今のお広前になったのです。私たちは日々そのお広前に参拝しておかげを頂いているのです。
 金光新聞に掲載されている現教主金光様の年頭放送で「ご恩を知りご恩に報いるということが大切」「ご恩に目覚めさせていただき、そしてそれらを忘れず、ご恩返しのお役に立たせて頂きたい」とお話になっています。
 このことを、布教百一年、教祖百四十一年、大先生八十年のお年柄を迎えた私たちの信心について頂いていくと、教祖様がご信心をされて神様からおかげを頂く道がついて、初代大先生がその信心のおかげで、どうにもならないほど行き詰まられところから道が付いて玉水教会、銀座教会が生まれ、関東大震災、戦災に遭いながら初代大先生に成り代わってという初代親先生のご信心と神様の思し召しのおかげで、お広前の働きはますます盛んになり、その信心を受け継がれた二代親先生の信心から今の銀座教会があるのです。そのお広前で私たちは日々おかげを頂いていることを改めて分からせて頂くことが大切なのです。
 私たちはついつい目先のおかげを頂くことにとらわれて、おかげを頂く道である信心に思いが至りません。私たち一人ひとりに何としても信心して神様からおかげを頂いてほしいという思いにあふれた初代大先生のお話が「信話集」として残されています。その信心を受け継いでお取次ぎをしてくださった初代親先生、二代親先生のお話も「教話集」「語録」として残されています。
 布教百一年目を迎えて、改めてこの信心を心に頂いていくことが大切なのです。そしてその信心が分かれば私たちは何をすればいいのでしょうか。
 少しでも人が助かることのお役に立たせて頂くことだと思います。「人が助かることのお役に立つ」などという大きなことはとてもできないと思いがちですが、私が金光学院に入っているときに、スリッパを履きやすいように並べ直しておくだけでも、人が助かるお役に立つことができると教えられたことがあります。
 「世界真の平和達成」を願い、家族やかかわりのある人たちのことを祈り、少しでも人の助かることをさせて頂くことが、受けたご恩に報いることになるのです。信心とは教えを生活の上で実践することだと教えられています。