今月のことば

湯川浩一(ゆかわこういち)

1966年(昭和41年)二代教会長・湯川信直師長男として出生。
慶応義塾大学経済学部卒。1989年(平成元年)金光教教師拝命。
2006年(平成18年)信直師逝去の後三代銀座教会長に就任。

銀座教会長 湯川浩一

銀座教会長 湯川浩一

願い合い

「銀座だより」2016年2月号 「お徳の中で」より 今日は秋のご大祭、教祖生神金光大神様のお祭りです。私たちが日々お広前に参り、お取次を頂きご祈念もさせて頂いておりますことは、当たり前のようでいて、実は大変なおかげを頂いてのことであります。そして、そのおかげの元をとだすと、教祖様ということになります。神さまが『神からも氏子からも両方の恩人はこの方金光大神』と言われた教祖様のご信心のおかげにより、天地金乃神様がこの世に現され、教祖様が立教神伝をお受けになり取次専念して下さったおかげにより、私たちは日々そのお取次ぎを頂いて変わりなくおかげをこうむっております。今日はそのことを心よりお礼申しあげるお祭りです。どうぞ、喜び喜んでそのご比礼をこうむりたいと思います。 先日ある信者さんが「孫が結婚しまして」とお礼のお届けに来られ、「若い夫婦のために何かお書き下げを頂けないでしょうか」と頼まれました。私はこうしたことに不慣れなものですから内心“弱ったな”と思いつつも、無下(むげ)にも断れず二、三日考えさせてもらうことんしました。それで、神様に“どうぞ若い夫婦のしるべとなるような教えを書かせて頂きますように”とお願いをして、思いついたのが「願い合い」という言葉でした。 銀座の初代親先生は教話集の中で、「夫婦が願い合いをしていくことが大切である」「それも相手が願ってくれるから願うというのではなくして、自分から進んで相手のことを願っていきなさい」と教えて下さっています。 とにかく私たちは相手の足りないところばかりを見て、“ああもしてくれない、こうもしてくれない”と不満ばかりを抱きがちです。けれども、足りないところばかり見ていては、腹が立つばかりで、心は神様から離れていってしまいます。「相手がこんなに悪いのですから、神様どうぞ相手の悪いところを直してください」とお願いされる方がいます。なるほど話を聞くと相手が悪い。理屈も通っている。けれども、それが本教の信心かというとそうではありません。 初代親先生は「相手に不満を抱く場合には、不満を抱く自分の心にも問題があるから、その原因を無くしていくおかげを頂くことが大切です。そうしていくうちに、相手もだんだんと気がついてくれて、やがて不満が無くなってきます」そのためには、まず「自分の心の中の相手を助けていくことが大切である」と言われています。自分の外にいる夫や妻ではなく、自分の心の中にある夫や妻に対する思いを助けていくこと。たとえ相手に足りないところがあっても、和賀心で足していく。それによって、あいよかけよの道がついてくるのです。 信心では、相手を変えようと思ったら、まず自分自身が改まること、その順序が大切なのです。 この「願い合い」「自分の心の中の相手を助けていく」ということは、夫婦の間に限らず、職場の上司と部下、嫁と姑、親と子、あらゆる人間関係において通じる行き方ではないでしょうか。 神様と私たち人間の関係も同じです。このお道は「神と人とがあいよかけよで立ち行く道」と言われております。神様は私たちが願う以上に私たちのことを願って下さり、神様からすると足りないところだらけの信心しか出来ていない私たちのことを「不信心者ほどかわいい」と受けとめて下さり、足りないところを足して下さっている。そのことに気付かせて頂き、その神様と同じ神心になって、相手がどうであろうと、自分の心の中の相手を助け、願い合いをしていく。それが家庭円満、ひいてはすべてのおかげの元になってくるのだと思います。 (11/21 生神金光大神大祭)